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国鉄103系直流通勤形電車
JNR Type 103 Electric Car
▲かつては首都圏をはじめ名古屋、京阪神の通勤路線で多くが活躍した103系電車は多くがJRに引き継がれた。製造当初より非冷房車であった車両は、冷房化工事も行われ一部は簡易工事で済む冷房装置の取付をするなどの改造も受けている。後継車両の開発・増備とともに徐々にその数を減らし、JR東日本とJR東海に継承された車両はすべて廃車となり、残るはJR西日本に継承された延命工事施工車のみとなった。写真は首都圏で最後まで103系高運転台車が活躍した南武線のナハ22編成。この写真を撮影してから半年足らずの2004年12月に廃車となり、残るは同じ中原電車区所属で鶴見線用の低運転台車のみとなったが、これも翌2005年に廃車となってしまった。(2004年8月23日 久地−宿河原)
 国鉄の通勤形電車の新性能化は、1957年に登場した101系電車で実現し、吊り掛け駆動式の旧性能車を置き換えることが期待された。101系電車は中空軸並行カルダン駆動や両開き4扉をもつ軽量全金属車体などを採用して、加減速性能をはじめ乗り心地などそれまでの旧性能車を凌駕する近代的なものとなった。一方、主電動機を1時間定格出力100kWのMT46形を搭載し、従来のMT40形に比べ小型軽量化を実現したが、私鉄の高性能車と同等の加速度、減速度を実現するためには、編成の車両をすべて電動車で組成する必要があり、これを実際に行うとピーク時電流がき電設備に負荷をかけ過ぎてしまうなど、設備面や経済面での問題が露呈することになり、結局は全電動車編成を組むことができず、編成中に付随車を入れることによりき電設備への影響を抑えることにした。しかし、元々が全電動車で運用されることが前提の設計であったため、特に主電動機の出力が低く駅間距離が長い線区に適した性能となっていたこともあり、付随車を連結することで本来の性能を発揮できなくなった。
 そこで、101系電車の反省を踏まえ、より変電設備などの地上設備を含めた実態に適合した通勤形電車として、101系電車を基本に設計されたのが103系電車である。
 101系電車が地上設備と主電動機の容量と特性のために、駅間距離が短い線区には不向きであり、全電動車編成を組むことが前提で設計されたために、103系電車は駅間距離が短い通勤線区により適した性能を目指して設計された。特に主電動機は新たに設計されたMT55形で、主電動機の出力は110kWとMT46形を僅かに上回る程度だが、MT比を1:1とすることを前提とし、頻繁に加速・減速を行う通勤線区の実態に合わせて、定格速度を36.5km/hとした中速形の性能をもつものになった。
 車体は101系電車の構造を踏襲した両開き4扉の軽量全金属車体だが、運転台位置を101系電車と比べて高くしたことから、前面窓もそれに合わせて天地方向が短くなっている。また、主電動機への冷却風取り入れ口が電動車の側面、戸袋窓上に設置されたほか、車内の床面は床鋼板の上に仕上げ材を貼った簡易なものとして製造コストを軽減している。
 台車はウィングばね式コイルばね式のDT33/TR201形を装備した。この台車は、101系電車に装備されたDT21形の構造を踏襲しているが、主電動機の直径が大きくなったために、車輪直径を901mmに対応したものとなった。
 1963年に先行試作車を製作して試運転を行った後、翌1964年から量産が開始された。国鉄の標準車両として国鉄の分割民営化が目前に迫りつつあった1984年までの21年間の長きに渡って製造され、製造両数は3,447両という鉄道車両史上、希に見る大量生産となった。
 21年間という長期間製造されたために、細部は製造年を追うごとに改良が重ねられ、様々なバリエーションが存在する。初期製造車と最終増備車では違いが大きいことも、この系列が増備を重ねる度に改良されてきたことの証でもある。
 103系電車は山手線への投入を皮切りに、京浜東北線、中央総武緩行線、中央線快速、東海道緩行線、大阪環状線など国鉄・JRの通勤線区に投入されていった。また、派生形として地下鉄乗り入れ対応の1000,1200,1500番台や、72系アコモ改良車から改造編入された3500番台などがある。分割民営化により3,500両近くが継承され、後継車両の増備により残存した101系電車を置換ていったが、JR東日本に継承された車両は山手線へのE231系500番台の投入で余剰となった205系の広域配転により、最後まで残った仙石線のRT-235編成が2009年に運用を終了し、管内からすべての103系電車が姿を消した。
 一方、JR西日本に継承された車両は2012年現在も多数が残り、近郊路線などに進出して使用されている。使用範囲は広く、京阪神の通勤路線をはじめ岡山・広島地区でも使用されているが、後継車両の増備により初期車や延命工事未施工車から淘汰が始まっている。

■クモハ102形制御電動車
 モハ102形またはクモハ102形とユニットを組む制御電動車(Mc)。集電装置(パンタグラフ)や主制御器など搭載する奇数向き専用車である。2、3または5両編成を組成する場合には本形式が必ず組み込まれる。
■クモハ103形制御電動車
 モハ103形またはクモハ103形とユニットを組む制御電動車(Mc')。電動発電機(MG)や空気圧縮機(CP)などの補機類を搭載し、偶数向きに連結される。本形式は車種が増えることを避けるという国鉄の方針により、地下鉄東西線乗り入れ用として製造された1200番台にのみ設定されたが、分割民営化後に短編成化によって必要が生じ、地上線用にモハ102形から改造された車両もある。また、仙石線で使用されていた72系電車のうち103系と同等の車体をもったアコモ改善車を、八高線及び川越線電化に伴って転用するため103系化改造によって3000番台にも設定された。
■モハ102形電動車
 モハ103形またはクモハ103形とユニットを組む電動車(M')。クモハ102形と同様に補機類を搭載する。
■モハ103形電動車
 モハ102形またはクモハ102形とユニットを組む電動車(M)。クモハ103形と同様に集電装置や主制御器などを搭載する。
■クハ103形制御車
 103系の制御車。製造当初は奇数車は奇数向き、偶数車は偶数向きとされ、1000番台、1500番台もこの法則により製造された。クモハ103形と同時に製造された車両は500番台として偶数向き専用となった。
■サハ103形付随車
 運転台のない付随車(T)。
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