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国鉄105系直流通勤形電車
JNR Type 105 Electric Car
▲猛暑の中を桜井駅の場内へと入る105系電車。国鉄末期に製作された105系電車は、地方ローカル線の輸送事情に特化した1M方式の通勤電車として、車体を新製したグループと余剰となった103系電車から改造したグループがある。桜井線で活躍するのは後者で、種車の構造そのまま4扉車となっている。(2012年8月6日 桜井駅)
 国鉄の地方ローカル線の電化区間のほとんどは、戦前または戦時中の買収により国有化された路線で、大都市圏で使い古された旧型車を配置して使い続けられてきた。これは、幹線や大都市圏の通勤路線に新性能車が続々と配置されてからも同じで、1980年代まで「旧型国電」と呼ばれる吊り掛け駆動方式の旧性能車が残存していた。これは、新性能車の電動車を2両1組とするMM'ユニット方式を採用したことによるもので、103系電車では最低でも3両編成(2M1T)を組むことになり、101系電車では2両編成を組成することが可能であるが、これは2両とも電動車(McM'cの2M)となってしまうことから、輸送単位の小さいこれらの路線では不経済であった。このため、電動車が1両単位で運用できる旧性能車は、運用面で使い勝手がよく、輸送単位と相俟って2両編成(1M1T)で使用され続けていた。
 しかし、吊り掛け駆動方式は電動機の発する振動が線路に悪影響を与えるため、線路の保守コストは新性能化された路線に比べて高く、また車両そのものも老朽化が進行し、接客設備の陳腐化も否めず、さらに旧性能車そのものの保守コストは新性能車よりも検査周期が短いことから自ずと高いものであった。
 こうした状況から、これらの路線の新性能化は国鉄にとっても大きな課題であり、大都市圏に最新型の電車を投入して、玉突きで捻出した新性能車をこれらの路線に配置することも計画されたが、前述のように2両編成が主体で運用されている路線に、これら捻出した新性能車は輸送力が過剰になり、運用コストを少しでも減らしたい当時の国鉄としては新たに、1M方式の新性能車を製作することで解決することにし、1981年から製造されたのが105系電車である。
 1M方式の新性能電車としては、既に141系電車(クモユ141形)や143系電車(クモヤ143形、クモユ143形、クモニ143形)などで実績があったが、これらは113系・115系電車等に併結して、駅間距離の長い路線を高速で走行することを前提とした性能のため、これらをそのまま通勤形電車とすることはできなかった。投入を予定していた線区は、いずれも駅間距離が短く、比較的低速で走行するため、性能的には真逆のものとなってしまうためである。そこで、105系電車では103系電車と同等の性能をもたせることとし、かつ輸送密度に見合った通勤形電車として設計された。
 105系電車の開発当時は、国鉄は慢性的でしかも膨大な赤字を抱えていたこともあり、製造コストを抑えることも課題となっていた。そこで、可能な限り既存品を活用することで、これらコストを抑えることにした。
 制御装置は抵抗制御方式であるが、機器の小型化を実現するために新たに開発したCS51形を採用した。この制御装置は、主電動機を永久直列接続とし、直並列組み合わせ制御をしないことを前提としたもので、制御段数も103系電車よりも少なく設定されている。これは、103系電車ほどの高加速性能を必要としないと割り切ったものである。台車は103系電車と共通の枕ばねがコイルばね式のDT33系を装備、主電動機も同じくMT55系として、103系電車と部品の共通化を図っている。
 一方、105系電車は電動車が1両で運用が可能であるが、万一電動発電機が故障した際にも次の駅まで走行を可能にするために、制御用電源をバッテリーから供給させている。また、主電動機は台車単位で解放が可能にし、主電動機の故障時には2個の主電動機でも走行が可能になるなど、冗長性を持たせている。
 車体は新製されたものと、103系電車からの改造車とで異なる。新製車は側扉が3ドアで、車内はロングシートを備えている。一方、103系電車からの改造車は側扉4ドアのままで、車内も103系時代と変わらず種車の構造を活用している。先頭車のデザインは、新製車と改造車で種車が中間車の場合は、貫通扉付で前面窓の上下には黒色ジンカート処理がされている。103系先頭車からの改造車は、そのまま種車の構造が活用されているため、一見すると103系電車と見まがってしまう。行き先表示器は貫通扉の上に付き、側面の行き先表示器も設置された。
 全部で新製車が60両製造され、改造車は113両が改造された。福塩線や宇部線、小野田線など西日本地区のローカル電化路線を中心に配置されたが、一部は仙石線にも配置された。国鉄の分割民営化により、全車がJR東日本とJR西日本に継承されたが、仙石線に投入された4両は既に廃車となっている。一方、JR西日本に継承された109両は多少の配置転換や使用路線の変更が生じているものの、前述の3路線の他、桜井線や和歌山線、紀勢本線などで使用されている。なお、103系の改造種車の一部は、203系電車の投入によって余剰となった常磐緩行線で運用されていた1000番台であるが、その203系は2011年に全車が廃車となり廃系列となってしまったのに対し、105系改造車は現在も運用に就き生きながらえているのは皮肉なものである。

■クモハ105形直流制御電動車
 105系電車の制御電動車(Mc)である。主制御器をはじめ、主電動機、発電ブレーキ用の主抵抗器、集電装置などの電装品を装備している。空気圧縮器(CP)や電動発電機も本形式に搭載し、運転に必要な機器を1両すべてに装備する。
■クハ104形直流制御車
 105系の制御車(Tc)である。105系電車は1M方式のために、制御車である本形式には補機類の搭載はなく、純然たる付随車である。
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