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国鉄113系直流近郊形電車
JNR Type 113 Electric Car
▲JR移行後間もない頃の東海道本線品川駅付近を走る113系電車。写真でもわかるように、側面には大きな「JRロゴマーク」が貼付されている。4両目には余剰となった特急形の183系電車から改造されたグリーン車(サロ110形350番台)が連結されてることからも、国鉄から移行直後ということが判る。(1987年頃 田町−品川)
 東海道本線東京地区(所謂「湘南電車」)では、普通列車に1950年代末期から80系電車や153系電車を使用していた。しかし、これら2系列は急行列車などの長距離輸送で使用することを前提として設計されていたため、デッキ付2扉車であり、年々増加する輸送量を捌くには難があった。特に、朝夕のラッシュ時に至って2扉車であるが故に客扱時間が延び、ひいてはダイヤが乱れる要因にもなっていた。
 そこで、中距離輸送用として両開き片側3扉でデッキなし構造の近郊形電車を投入することにした。これが、111系電車である。111系電車は常磐線用に開発・投入された401系交直流両用近郊形電車や、その60Hz版である421系の直流専用型ともいえるもので、主電動機を出力100kwのMT46A形を装備している点や、車体構造、客室内の構造もほぼ共通であり、いわば401・421系から交流関係の機器を省き、直流機器のみを搭載したのが111系といえる。但し、台車は電動車用のものはDT21Bで同じだが、付随車用の台車は頻繁に行われる制動を考慮して、通常の踏面ブレーキではなくディスクブレーキのTR62形となった。
 こうして混雑の激しさを増す東海道本線での普通列車で、片側3扉という車両構造はラッシュ時に威力を発揮し、客扱時間が延びることによるダイヤの乱れも徐々に解消していくことになる。そして、111系の主電動機を出力120kWに強化し標準化されたMT54形を装備して、東海道本線東京地区はもとより、直流電化区間の温暖・平坦線区で広く普通列車での中距離輸送用に使用するために製造されたのが113系電車である。
 113系電車は111系の基本設計を踏襲し、主電動機をMT54形とした他には、初期車を除いて通風器をグローブ形から押し込み形に変更している。また、製造が長期間に渡ったため、使用される線区の事情に合わせた仕様のものや、接客サービス向上ために改設計された区分など多くのバリエーションが存在している。国鉄の直流電化区間の温暖な地域であれば、乗車する機会の多い形式であったといえる。
 民営化により、JR東日本、JR東海、JR西日本の3社に継承され、引き続き中距離輸送用に使用されたが、製造から既に40年以上が経過した車両もあり、JR東海では2007年のダイヤ改正をもって全車廃車となった。また、JR東日本に所属する車両も、東海道本線での運用は後継のE231系の増備により2004年に運用を終了。残る房総地区に一部が転属して、車齢の高い車両を置換て引き続き使用されたが、やはり後継の209系2000・2100番台の増備により2011年10月をもって運用を離脱、廃車となりJR東日本では113系が消滅した。
 JR西日本では延命工事による近代化を施し、現在もなお使用され続けているが、こちらも新型車両の増備によって徐々にその数を減らしつつある。京阪神地区では湖西線、草津線での運用はあるものの、普通列車での運用が中心である。また、京阪神地区で使用されていた車両が山陽本線に転じて使用されている。
 また、JR四国ではJR東日本で廃車となった113系電車を譲受し、更新工事を施して予讃線、土讃線、瀬戸大橋線で使用している。

■モハ112形直流電動車
 113系の中間電動車(M'車)で、モハ113形またはクモハ113を組む。集電装置(パンタグラフ)を搭載するほか、電動発電機(MG)や空気圧縮機(CP)などの補機類を搭載する。
■モハ113形直流電動車
 113系の中間電動車(M車)で、モハ112形やクモハ112形とユニットを組む。主制御器を搭載する。
■クモハ112形直流制御電動車
普通列車の短編成化により、不足する先頭車を増備することを目的に、中間電動車のモハ112形に運転台を設置などの改造によって登場した直流制御電動車(Mc'車)。モハ113形またはクモハ113形とユニットを組む。
■クモハ113形直流制御電動車
クモハ112形と同じく、普通列車の短編成化により不足となった先頭車を増備することを目的に、中間電動車のモハ113形に運転台を増設して登場した直流制御電動車。
■クハ111形直流制御車
 111系、113系の制御車(Tc車)。111系と113系では、電動車に搭載される主電動機の出力の違いで形式が別れているが、制御装置等はほぼ同一のため、制御車については111系の形式のままとなった。そのため、「クハ113形」の新たな形式は起こされることなく、共通で連結及び運転が可能である。
■サハ111形直流付随車
 111系、113系の付随車(T車)。制御車であるクハ111形と同様に、中間に連結される付随車についても111系、113系共通で連結、運転が可能である。
■サロ110形直流付随車
 111系、113系に連結される付随車の特別車両(Ts車)である。サロ110形は製造年代によって仕様や出自が異なる。最初期のもの(0番台)は153系急行形電車のサロ153形からの格下改造によって登場した。また、余剰となった特急形電車のグリーン車の格下改造によって登場したもの(300,350,1300番台)や、1急行形電車からの改造車(500,400番台)など、元々111・113系としてではなく改造車の形式であった。
近郊形電車のグリーン車の決定版となる1200番台は、他系列からの改造ではなく新製された形式区分である。専務車掌室が設置されていることと、111〜113の番号が既に使用されていることから、サロ110形の1区分となった。
■サロ111形直流付随車
 111系用オリジナルのグリーン車として製造された形式(Ts車)。基本的な仕様は同時期に製造されていた急行形電車のサロ153形(→後に111系に改造編入してサロ110形)とほぼ同じであるが、近郊形のため台車はコイルばね式のTR62形を装備し、シートも転換式クロスシートになるなど簡略化されている。専務車掌室はなく、製造当初は非冷房であったが後にAU13A形分散冷房装置を設置して冷房化された。国鉄の分割民営化により26両がJR東日本に継承されたが、1993年までに老朽化のため全車廃車となり形式消滅した。
■サロ112形直流付随車
153系急行形電車のサロ152形を格下改造して111・113系に編入して登場したグリーン車(Ts車)である。改造当時は京阪神地区においても東海道・山陽本線の快速列車にはグリーン車が連結されていたため、主に京阪神地区に配置された。種車のリクライニングシートはそのまま装備されていて、オリジナルのサロ111形とは設備面で差があった。下降式側窓の構造上による雨水の浸入により、車体裾部の腐食が激しく老朽化が早く1979年までに全車廃車となり形式消滅した。
■サロ113形直流付随車
113系オリジナルのグリーン車(Ts車)として1973年から17両が製造された。横須賀線・総武快速線用として製造されたため、全車がA-A規準の1000番台である。急行用電車のグリーン車と同じリクライニングシートを設置し、シートピッチも1,160mmと従来車よりもゆとりがあり、接客サービスの向上を図っている。一方で定員が48人と少なく、利用客の多い横須賀線では需要に応えられなかったため、京阪神地区に転じて老朽化の著しいサロ112形を置き換えた。しかし、京阪神地区快速列車のグリーン車連結が廃止となったため、再び幕張電車区(現:幕張車両センター)に配置隣横須賀・総武快速線で使用されている。分割民営化により全車がJR東日本に継承されたが、1998年までに全車廃車となり形式消滅した。
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