このサイトについて 「筆者」への連絡
JR北海道721系交流近郊形電車
JNR Type 721 Electric Car
▲721系電車の特徴的な室内。中央部にデッキをもつ3ドアのため、客室は半室構造という他に例を見ないもの。厳しい気候に対応するための北海道ならではのものだ。デッキ仕切りにも窓があるため、意外にも室内は明るい。(2006年8月6日 函館本線走行中の車内にて)
 筆者が高校以来、実に十数年ぶりに訪れた北海道は、客車列車と気動車列車が主体と想像していたが、驚くほど電車化が進んでいた。もちろん、これは札幌近郊圏内に限った話だが、そのメインとなるのが今回紹介する721系交流近郊形電車だ。
 北海道内は交流電化のみなので、当たり前のことだが電車もすべて交流専用。屋根のパンタグラフ付近には、特別高圧に対応した配線と碍子が剥き出しというのも、交流電車ならではの特徴だと思う。交流電車といえば、筆者がかつて勤務していた九州も交流電化なので、やはり民営化以降に新製される電車もすべて交流専用だったが、土地も違えば同じような構造をもつものでも、受ける印象も異にしている。
 最近ではあまり見られなくなった片開きドアーというのも、この車両の特徴ではないかと思う。本州とは違い厳しい気候に耐えられるような装備や、接客設備などは北海道内ならではのもの。確かに、真冬に訪れた際は、文字通り身を切るような寒さだが、車内に入ればこの寒ささえを感じさせない保温を考慮した客室構造に感心させられた。反対に夏場は、冷房で冷やした車内から冷気が逃げていかないというのも、寒さに気を配ったことが功を奏しているようだ

 函館本線の札幌近郊区間を中心とする中距離列車は、従来機関車牽引の客車列車が主で、国鉄時代に製作された711系電車による列車はごく小数であった。また、民営化後に輸送需要の増加が著しく、加減速性能の優れた車両が必要になった。客車列車を電車に置き換えることにより、サービス向上、運用の合理化とコストの削減、そして普通列車の増発をねらって1988年からJR北海道が開発・製造したのが721系電車である。
 北海道という冬季の過酷な環境で使用することを前提として開発されたために、随所に本州以南の電車とは異なる独特の仕様がある。近郊形電車という位置づけである721系は、3ドア・セミクロスシートという他の近郊形電車とほぼ同じ仕様ではあるが、中央部以外のドアについては車端部に設置し、それぞれのドアにはデッキを備えている。デッキ部には客室との仕切りがあり、客室内に冷気が入り込むことを防ぎ、車内の保温性を向上させている(8次車以降はデッキ仕切りを廃止)。
 車体は軽量ステンレスで、同時期に開発・製造された他の車両と同じである。車体にはJR北海道のコーポレートカラーである萌葱色の粘着フィルムで帯を入れている。また、台車は211系などに採用されているDT50系ボルスタレス台車を基本に、高速運転に対応できるように改良されたN-DT721系台車とした。ヨーダンパを装備するとともに、氷雪対策として鋳鉄制輪子を使用した基礎ブレーキを装備している。
 また、客室内は転換式クロスシートを採用。一部の車両は特別料金を要する「uシート」としてフリーストップ式のリクライニングシートとなっている。また、中央ドアにデッキがあることから、2室構造となっている。
 制御装置は1次車から5次車まではサイリスタ位相制御、6次車以降はVVVFインバーター制御である。このほか、一部の車両は130km/h運転に対応工事を施されている。ブレーキ装置の改造の他、冬季に車体に付着した氷雪が落下した際、窓ガラスに当たって割れることを防ぐため、客室・ドア窓をガラスからポリカーボネートに交換している。このため、通常のガラスに比べて僅かに透明度が悪く感じる。このため、同一系列でありながら制御装置の違いや、運転速度の違いなどから、番台区分は少々複雑になっている。
 全車が札幌運転所に配置。函館本線の小樽〜札幌〜旭川間と、千歳線及び室蘭本線の電化区間の快速、普通列車の運転に使用されている。

■クモハ721形交流制御電動車
  サイリスタ位相制御編成の制御電動車(Mc)で、小樽方の先頭車としてに連結される。
■モハ721形交流電動車
  パンタグラフを装備する中間電動車。サイリスタ位相制御編成ではM'車として、VVVF制御編成ではM1車またはM2車となる。
■モハ720形交流電動車
  集電装置を装備しない中間電動車(M車)として、6両編成化に際して製造された。小樽方から4両目に連結される。
■クハ721形交流制御車
  旭川・苫小牧方の先頭車として連結される制御車(Tc車またはTc1,Tc2車)。
■サハ721形交流付随車
  6両編成の付随車として製造された。小樽方から3両目に連結される「uシート車」(Tu)と、VVVF制御車6両編成の小樽方から4両目に連結されるT車がある。

広告
P R
(C)2004-2014 Norichika Watanabe Allright Reserved.