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JR貨物EF510形交直流電気機関車
JR Freight EF510 Electric Locomotive
▲東海道本線山科駅を通過するEF510形。日本海縦貫線で使用され続けてきたEF81形の老朽置換用として開発されたEF510形は、EF500形の開発失敗を活かして、より使用線区の実情に合わせた性能とした。年数量ずつの増備で着実に置換を進め、現在では西日本と東北・北海道を結ぶ貨物列車の主役となった。適正な性能と信頼性が、旅客会社に所属する機関車の置換用として派生形を生んだ、(EF510-10[富山] 2012年8月7日 山科駅)
 1987年の国鉄分割民営化後、好調な景気も相まって鉄道貨物輸送量は増加傾向にあった。これに対応するため貨物列車の増発が行われ続け、機関車の所要数が不足することから、国鉄時代に設計された電気機関車のリピートオーダーによる新造(EF66形電気機関車、EF81形電気機関車)がされたほか、分割民営化前に余剰車として廃車・除籍となり国鉄清算事業団が保有していた車両を買い取り、車籍復活をさせて営業運転に復帰させるなどの対応をしていたが、旅客会社の線路を借用して貨物列車を運行するため、JR貨物はダイヤの設定ができないなどの事情により、早晩輸送力不足が起きることが懸念されていた。そこで、列車の運転本数を増やすことなく大量の貨物を輸送するため、1,600tの長大高速貨物列車の運転により対応するため、この重量貨物列車を牽引する性能をもつ機関車として、1990年に直流用のEF200形と交直両用のEF500形が試作された。しかし、1時間定格出力6,000kWという空前の出力をもつ性能が故に、実際に最高出力で運転すると地上の変電設備が対応できないという事態になり、JR貨物は変電設備の改良で1,600t列車の運転を実現しようとしたが、これらは旅客会社が保有する設備であるため、貨物列車のために変電設備を増強することに消極的であった。そのため、直流用のEF200形は量産車の製造に漕ぎ着けたものの出力を抑えて使用するに至り、量産は20両で打ち切られ、より地上設備や輸送量などの実態に合わせたEF210形へ製造が移行した。
 一方、交直両用として開発されたEF500形は、東北本線−津軽海峡線や日本海縦貫線で使用されているEF81形の代替を視野に入れて、ロングラン運転を単機で賄うことを想定したいたものの、EF200形と同じく地上変電設備がEF500形の性能に追いつかないばかりか、これらの路線は列車の運転頻度が少なく、1形式の機関車のためだけに莫大なコストを投入してまで設備を増強する意味がなく、さらにはEF500形の発する誘導障害が解決できないまま、1両の試作で終わってしまった。しかし、EF81形の老朽化が進行するにつれ、交直両用の新型機関車の必要性が高まってきたため、EF210形同様に使用する線路の輸送量などの実態に合わせて設計されたのがEF510形である。
 車体は非貫通構造の高運転台で、前面デザインはEF500形に類似した形状となった。前照灯は前面下部に左右に振り分け、尾灯と一体型のライトケースに収められた角形である。この他に、前面窓上中央部にも2個備えており、降雪地帯を走行する際の視界確保を考慮している。
■0番台
 2002年に先行量産機が、2003年から量産機が製造されている、貨物列車牽引のみを考慮している基本型である。日本海縦貫線で使用されているEF81形は、車齢が40年近くに達する車両も多くなり、冬季は降雪地帯を長距離走行するという過酷な使用環境による老朽化が進行し、これらを置換することを目的に開発・製造された。試作のみに終わったEF500形が1時間定格出力6,000kWという大出力機であったのに対し、本形式ではEF210形と同様に30分定格出力という概念で設計、基本的な部分ではEF210形とほぼ同じである。
 制御装置はEH500形で採用された高速トルク制御を有する三菱電機製のIGBT-VVVFインバータ制御式で、出力565kWの三相かご形誘導電動機を1C1Mで制御する。台車はEF210形と同様の軸梁式ボルスタレス台車のFD7N/FD8Aを装備し、機関車のみを制動する単機ブレーキは発電制動併用の電気指令式ブレーキである。また、降雪地帯を走行するため、耐雪ブレーキ機能も有する。交直流機の特徴である特別高圧機器は、海岸沿いを走行することが多いため塩害対策としてパンタグラフと保護設置スイッチ以外はすべて室内に配置されている。
 愛称は「ECO-POWER レッドサンダー」で、その名の通り車体は赤で塗装され、車体裾部に白とグレーの帯を巻いている。全機が富山機関区に配置され、日本海縦貫線の貨物列車に使用されている。

■500番台
 JR東日本に継承されたEF81形の置換用として、2009年から2010年にかけて製造された区分。基本的な仕様はJR貨物の0番台と同じで電気機器類も同一であるが、寝台特急牽引の運用を考慮した装備を追加或いは変更している。
 保安装置は0番台がATS-PF/SFであるのに対し、500番台はJR東日本管内のみで運用されることから、ATS-PとATS-Psに変更されている。また、列車無線も製造当初からデジタル無線を搭載しているほか、上野−尾久間の推進運転用スイッチを設置している。また、東北本線黒磯駅での交直切換セクションは、貨物列車は停車して切り換えるのに対し、寝台特急牽引運用では同駅を停車しないため交直切換セクション通過用の自動列車選別装置も装備している。
 全部で15両が製造され、全機が田端運転所に配置され当初の予定通りEF81形を置換え、寝台特急「北斗星」「カシオペア」の牽引機として使用されるほか、首都圏の貨物列車にも使用された。しかし2013年3月のダイヤ改正をもって貨物列車の運用は消滅し、寝台特急牽引仕業のほかは臨時工事列車などに使用されている。501-508,511-515は「北斗星」に合わせた塗装で青色に金色の帯、車体中央部に流星をあしらった「北斗星色」、509,510は「カシオペア」に合わせたシルバーメタリックに流星をあしらった塗装となっている。JR貨物の0番台とは異なり、特に愛称はない。
EF510-503[田] 2009年・田端運転所新製配置
形式車番の横[ ]で括られた文字は、撮影当時の所属区所を表しています。
[門]JR貨物・門司機関区 [田]JR東日本・田端運転所
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