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国鉄EF64形直流電気機関車
JNR EF64 Electric Locomotive
▲初夏の新鶴見機関区西機待線群に憩うEF64形1000番台。勾配線区用機関車として登場したEF64形も基本番代は後継機の登場により徐々に淘汰され、ほとんどが1000番台になってしまった。それでも、その役割は変わらず更新改造を受けながら、現在も中央本線や上越線の貨物列車牽引といった活動が続く。
(2011年5月4日 新鶴見機関区)
 国鉄の新性能直流電気機関車は、平坦線区用として貨物用のEF60形と、蒸気発生装置を備えた旅客用のEF61形があった。また、信越本線の碓氷峠を登坂する急勾配用としてEF62形、そしてこの補助機関車として協調運転装備をもつEF63形があった。
 一方、奥羽本線の板谷峠は碓氷峠ほどでないにせよ、平均33‰という急勾配があり、我が国でも有数の難所であった。既に当時は直流電化されており、EF15形に電力回生ブレーキを追加したEF16形が使用されていたが、老朽化などによりこれを取り替える必要があった。そこで、碓氷峠対策の特殊装備のない、勾配線区の標準機として開発されたのがEF64形である。
 EF64形の開発にあたっては、EF62形ほどの急勾配対応の性能は必要なく、ましてEF63形のような特殊装備は不要だった。また、中央本線などの勾配線区における新性能電気機関車の需要があった。そこで、EF64形は歯車比を1:3.38として、連続勾配に対応した。また、連続した勾配を下るときにはEF16形のような電力回生ブレーキではなく、大容量の抵抗器を装備することで発電ブレーキとして安全性を高めた。
 1964年から0番台が79両、1980年から1000番台が53両の計132両が製造された。1987年の国鉄分割民営化に際しては、0番台、1000番台ともに全車がJRに継承された。特に貨物列車牽引用としてJR貨物には全体の9割が継承されたほか、本州の各旅客会社も数量を継承している。しかし、初期車を中心に老朽化や用途の廃止などにより廃車されつつあり、JR東海、JR西日本に継承された車両については全車廃車となった。
■0番台
 1964年から製造されたグループである。奥羽本線や中央本線などの勾配線区に対応し、歯車比を1:3.83として碓氷峠対策の特殊装備をもたないなど、勾配用標準機として開発された。連続勾配を下る際の安全対策として大容量の抵抗器を設置した発電ブレーキを備える。また、この抵抗器から発生する熱を冷却するために、大容量の送風ブロアーも装備している。このため、ブロアーの発する音はかなり大きく、遠くからでも当機が起動中であることが分かるほどである。
 旅客列車の牽引を考慮したものについては、電気暖房用の電源装置(EG)を装備しているが、貨物列車牽引のみに減点した車両については電源装置を省略している。
 車体は前述のように抵抗器から発生する熱を放熱するため、側面には大型のルーバーが並んでいるのが特徴。車体前面は重連運転を行うことから、貫通扉付となったがEF62、EF63のような窓に傾斜をもたせなかったことから、やや印象のちがう形状になった。
 全部で79両が製造された。初期に製造された車両は当初の計画通りに、板谷峠対策用として福嶋機関区に配置されEF16形を置き換えたが、後に奥羽本線が交流電化に転換されることになり、後に製造されたグループとともに中央本線で使用された。
民営化後も引き続き中央本線の貨物列車を中心に使用されたが、製造から既に40年以上が経ち、一部は更新改造を受けて延命をはかった車両もあったが、後継機となるEH200形の量産により徐々にその数を減らし、中央東線の運用からは退いている。残る数両も愛知機関区に配置され、中央西線の貨物列車に使用されているほか、JR東日本の2両も工事臨時列車など波動用に使用されるのみとなった。
EF64 60[愛] JR貨物更新色
1973年・長野運転所新製配置 1987年・JR貨物に継承(篠ノ井機関区)

■1000番台
 上越線や高崎線における旧型電気機関車を置き換えることを目的に製造されたグループである。これらの線区では、1970年代末になってもEF15やEF16、そしてEF58といった旧型電気機関車が使用されていた。そこで勾配線区用のEF64を投入することになったが、基本設計から既に20年近くが経っていたこともあり、仕様はほぼ同一としながら各部を再設計したのである。
 このため、基本性能は0番台とほぼ同じだが、再設計により搭載機器なども異なることから同一形式ながらその差異は大きい。そのため、本来ならば別形式となるのだが、当時の国鉄における労使関係も影響してマイナーチェンジ車として別区分として扱うことになった。
 1000番台の特徴は、その機器配置にあるといえる。0番台よりもさらに容量が大きくなった主抵抗器と冷却用のブロアーは、第2機器室と呼ばれる車体中央から1エンドよりの区画に集中的に配置されている。このため、外観も大型のブロアールーバーこの部分にだけある。そして第1機器室と第3機器室には比較的発熱量の少ない機器が配置された。この部分には採光用の窓も設置されているが、従来の機関車とは異なり大型のものとなっている。このような機器配置により、運転室への騒音低減にも配慮している。
 こしたことから車体も長くなり、台車もEF81形で実績のあるDT138/DT139をベースにしたDT138A/DT139Aとなった。また、重連運転を考慮して貫通扉付の前面であり、制御装置は基本番台とほぼ同じで重連総括制御が可能である。
 JR貨物とJR東日本に継承され、JR貨物の車両は一部で更新改造を施工している。また、乗務員の作業環境改善のために、屋根設置型の冷房装置を装備しているものもある。一方、JR東日本に継承された車両は、自社内での配給列車として電車を連結する都合から、双頭連結器を装備した特殊仕様の車両もある。
EF64 1012[] 国鉄直流電気機関車標準色/冷房装置非装備
1980年・長岡運転所新製配置 1987年・JR貨物に継承(高崎機関区)
形式車番の横[ ]で括られた文字は、撮影当時の所属区所を表しています。
[新]JR貨物・新鶴見機関区 [][機]JR貨物・高崎機関区 [田]JR東日本・田端運転所 [稲]JR貨物・稲沢機関区
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