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国鉄マニ30形荷物客車
JNR "MANI30" Type Baggage car
▲マニ30 2012 小樽市総合博物館 2005年5月28日
 かつては「公然の秘密」、いまは公のものとなった客車がマニ30形だ。日本銀行現金輸送専用の荷物車として製造され、荷物の積み卸し用扉はおろか、車体には添乗員用スペースにしか窓がなく、しかも貫通扉すらないよいう他の荷物車とはかけ離れた姿をしている。
 現在では小樽市にある小樽総合博物館(旧小樽鉄道記念館)に展示され、車内の様子を観察することができるが、「公然の秘密」とされていた頃は、この車両の存在を認めることもなく、車両形式図集にすら載っていなかったという。もちろん、列車に連結されて走る客車だから機密にできるわけもなく、存在そのものは知られていたのだろう。車内がどういう構造なのか、ということは荷物の性質から当然知られたくなかった、それ故に形式図が存在しない。
 筆者もこのマニ30形を目にしたのは一度きりで、研修先の某駅に留置されている姿だった。詳しいことは書くことができないが、やはり「荷物」を積むためにやってきたという。
 写真のマニ30形は、1948年にマニ34形として製造された6両(後にマニ30形2001-2006に改番)の老朽置き換えを目的に、1978年から6両が製造された。当時製造されていた50系客車に準じた車体構造で、両端は折り妻となっている。車内は中央部に寝台設備やトイレを装備した添乗員室が配置され、屋根上にもこの部分のみにAU14AN分散型冷房装置が設置されている。添乗員室を挟むように荷物室があるが、この部分には窓は一切なく、両開きの荷物扉にも窓はない。また、車掌室側には貫通扉があるが、反対側には貫通扉がなく、車掌室と荷物室の仕切には扉を設置していない。こうした「特異な構造」は保安上の理由によるものである。
 荷物列車や客車列車に併結して運用され、荷物の輸送時には必ず機関車の次位に連結されて使用された。分割民営化により貨物会社に継承され、貨物会社唯一の「客車」として引き続き高速貨物列車に併結して運用された。しかし、民営化後もその存在や運用は公になることもなく、2003年に鉄道輸送の終了によって用途がなくなり、全車廃車、形式消滅した。
 現在ではマニ30 2012が、小樽市総合博物館に保存・展示されている。
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