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国鉄タキ1900形貨車
JNR Type "Takii-1900" Tank Car
▲JR貨物のコンテナ化の施策により、年を追うごとに東日本地区の石油輸送列車を除く物資別適合輸送用の貨車はその数を減らしてきているが、いまなお黒い貨車は小数ながらも健在である。同一形式で組成された専用貨物列車は、今となっては貴重な存在だ。(2014年8月1日 四日市駅)
 筆者が鉄道員になった頃、日本の鉄道貨物輸送はすべてコンテナによる拠点間輸送が主役で、それ以外の車扱貨物輸送は既に過去のものと思い込んでいた。確かに、国鉄はヤード集結輸送と呼ばれる幾度も操車場で入換と解結を必要とする貨物輸送は廃止したが、実際には石油や石灰石、セメントなどのバラ積みによる物資別適合輸送は数多く残っていた。東海道貨物線の新興駅や東高島駅では、ホキ3000形やホキ2200形などが数多く見られたが、その頃の筆者は「過去のもの」とばかりに見向きもせせず、記録に残していなかったことが今となっては悔やまれる。
 鉄道が得意とする「3セ」と呼ばれる石油、石灰石そしてセメントの物資別適合輸送はその後も続けられ、21世紀に入って10年経った今日でもこれらを運ぶ車扱貨物列車が運転されていることに驚いている。大量の貨物を効率よく輸送する手段として鉄道が担い続けてきた役割は今も健在というところだろうか。
 タキ1900形貨車は、筆者にとってはあまり馴染みのない形式ではあるが、その存在は鉄道模型で知っていた。セメントターミナル(株)が所有する薄緑色のタンク車は、黒一色がほとんどの貨車の中では異彩を放っていたことが大きな印象をもったのだった。

 タキ1900形貨車は、40t積み粉体セメント専用のタンク車として、1964年から1981年にかけて製造された。タンク体は普通鋼製の異胴径で、ドームレス構造となっている。タンク体内部はセメントの付着を防ぐために、耐アルカリ塗料を塗布している。タンク容積は製造年やロットによって多少異なり、32立方メートルから36.4立方メートルだが、台枠サイズはすべて同一となっている。台車はベッデンドルフ式のボギー台車であるTR41またはTR209やTR213などを装備しているが、前者は初期生産ロットと後期ロットの一部、後者は後期生産ロットが装備している。
 所有者はセメントターミナルをはじめ、住友大阪セメントや三菱マテリアル、日立セメントなどのセメント製造メーカーが所有する私有貨車で、全国のセメント輸送に使用された。その後、セメント輸送の廃止や老朽化などにより徐々にその数を減らしていき、2014年現在は太平洋セメントが所有する95両が在籍するのみとなり、三岐鉄道東藤原駅−関西本線四日市駅間のセメント輸送列車で使用されている。タキ1900形は全部で1,729両が製造されたが、僅か5.4%が残るのみである。
▲タキ112169 [東藤原駅常備] 2014年8月1日 四日市駅
 タキ1900形第71ロットの一員として、1973年に日本車輌で製造された。後期生産ロットとして標準的なベッテンドルフ式で軸受けをコロ軸としたTR209形台車を装備しているが、これは後天的なものであり、製造当初はTR41C形の制輪子を鋳鉄からレジンに変更したTR41Gを装備していた。タンク体には4本の補強環が取り付けられているが、これか日立製の本形式の特徴なのだが、日車製である本ロットに取り付けられた経緯は不明。2014年現在も太平洋セメント所有の私有貨車として、三岐鉄道東藤原駅常備となっている。
 
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